DynabookのSSD(m.2)ドライブ換装成功報告
はじめに
本記事は、Dynabook m.2ドライブの換装にあたり、いろいろなサイトを調査したり、試したけどうまくいかなかったことなど、知見を得ましたので報告という形で共有するものです。
自分は、うまくいった方法も大事ですが、うまくいかなかったことや、その結論に至るまでの過程も重要だと思います。
そのため、本記事の最後にその過程等について書いています。できれば最後まで読んでいただけると嬉しいです。
注意点
Dynabookの蓋を開け、改造すると保証対象外となる可能性がある。
本記事の内容は、あくまでも実際に行ったことの記録であり、動作を保証するものではない。
本記事を読んで部品交換等を行った際、なにか不具合や損失が生じても、筆者は一切の責任を負わない。
前提
Dynabook RZ83/CB-BJD
Windows 10 Home(1809)
Samsung MZNLN512HMJP (m.2 512GB SATA3.0)
やりたいこと
512GBでは不足してきたので、1TBに換装したい。
使用したもの
WESTERN DIGITAL WD Blue 3D NAND SATA WDS100T2B0B
Sabrent M.2 SSD (EC-M2CU) (m.2 → SATA 2.5インチドライブ変換ケース、USB3.0への変換機能付き)
プラスドライバ(精密ドライバ)
Seagate Disc Wizardバージョン:23.0.17160
結果
m.2の512GBから1TBへの換装は成功した。
今のところ問題なく動作しているように見えている。
読み書き速度は換装前とほぼ同じ(Read 558MB/s、Write 518MB/s)
発熱も問題なし(40度前後)
換装の流れの概要
- m.2をクローンコピーする。
- OSをシャットダウンする。
- m.2を交換する。
- OSを起動する。
m.2のクローンコピーの方法
- Seagate Disc Wizardをインストールする。
- Disc Wizardを使って、Dynabook本体のm.2(Samsung)を、USB接続のm.2(WD)にクローンコピーする。
自分の場合は20分強かかった。
GUIがわかりやすいので迷うことはないが、起動したら[ツール]→[ディスクのクローン作成]を選択する。
ディスクのクローン作成ウィザードでは、ソースディスク(コピー元)とターゲットディスク(コピー先)を選択する時に、サイズなどをよく確認して指定すること。
SEAGATE Disc Wizardのダウンロード
https://www.seagate.com/jp/ja/support/downloads/discwizard/
OSのシャットダウンの方法
スタートメニューからシャットダウンを選択する際、SHIFTキーを押しながらシャットダウンした。
(SHIFTを押しながらやると、完全シャットダウンになる。完全シャットダウンにしなくてもいいかもしれないが、念のため)
m.2の交換方法
★感電防止や通電による破壊防止のため、ACアダプタとバッテリーは手順通り必ず取り外して作業すること!
裏蓋の取り外し方
- ACアダプタを抜く。
- Dynabookを裏返しにする。
- バッテリーを抜く。
- 裏のネジをすべてはずす。
- メモリカバーのネジ(2本、これだけ少し小さい)をはずす。
- メモリの周りのネジ(3本)もはずす。
- 裏ブタを上に取り外す。ケーブルとかはついていない。
m.2の取り外し方
- m.2のネジ(1本)を外す。
- m.2が斜めに浮き上がるので、斜めに引き抜く。
m.2の取り付け方
- m.2のコネクタに抜いた時と同じような角度で斜めに差し込む。
- 基盤がある方が上になるように。
- ネジをつける。
- 裏蓋の取り外し方と逆の手順で裏蓋をつける。
裏蓋を取り付ける時の留意点
裏蓋をつけた時、ヒンジのところが浮くことがあるので、押して隙間がないようにする。
ネジはひと通り締めた後、何度か増し締めすること。
ゆるみがない程度でOK。きつく締める必要はない。
OSの起動
m.2交換後、最初の起動時に、SHIFTを押しながらシャットダウンを選択した時のメニューが表示されたので、いったんシャットダウンを選択した。
電源ボタンを押して、起動すると無事起動した。
OSの起動後、しばらくDynabookのファンが回っているが、次のプロセスがCPUを30%弱消費していた。
このプロセスは、今回m.2を換装することにより環境に変化があったため実行したのかもしれない。
30分経過しても処理が終わらず、ファンが回り続けていた。上のプロセスは、検索を高速化するためにあらかじめインデクシングをしておくためのものらしい。
しかし自分は検索はたまにしか使用しないので、最小限にすることにした。
方法としては、インデックスの範囲をスタートメニューのみに変更し、インデックスを再構築した。すると処理はすぐ完了し、ファンもおとなしくなった。
換装の手順はここまでです。
これ以降は、上記の換装に至るまでに調査したり、試行錯誤したことを書いています。
現状の把握
まずは現状、何が実装されているのか確認する必要がある。
自分の場合、最初に裏蓋を開けたらm.2が入っていることに驚いた。てっきり2.5インチが入っているものだと思い込んでいたためだ。
m.2のインタフェースはBIOSやCrystalDiskInfoで確認すると、SATAであることがわかる。
CrystalDiskMarkで測定すると、530MB/sである。
SATAの場合はだいたいこの速度なので正しいと思われる。
裏蓋をはずしm.2を確認すると、B&M Key、2280であることが確認できる。この2280というサイズも大事。
m.2のインタフェースについては、次のブログがわかりやすかったです。
ZOAブログ
https://www.zoa.co.jp/pickup/detail/m2satassd/
Dynabook側のインタフェースの確認
Samsungのm.2は切り欠きが二つ付いていた。つまりB&M Key。
Dynabookのインタフェースは切り欠きが一つ。つまりM-Keyと思われる。
ということは、NVMeのm.2に変更すると、高速化が期待できる可能性がある。
念のため東芝サポートにDynabookのインタフェースについて質問したが、次の回答だった。
- 内部仕様のため回答できない
- ユーザが蓋を開けると保証対象外になる。感電の恐れもある。
NVMeをお試しで購入するほどお金はないし、SATAでも速度に不満はないので、安全策をとってSATAのままとすることにする。
仮にNVMeが動いたとしても、SATAより発熱が多めらしいので問題が出る可能性もあるし。
m.2の厚さ
Samsungのm.2のチップは片面実装で、厚さは2.数mm。
Crucial MX500 CT1000MX500SSD4/JP は1TBでWDのm.2より1,000円ほど安い。
しかし、Crucialはチップが両面実装で3.5mmある。
交換前のSamsungは片面であるため、両面だと厚くなり本体に取り付けられない可能性があるとともに、できたとしても隙間が詰まることで放熱が悪くなる可能性があるため、片面の方が無難だろうと考えた。
耐久性(TBW)
WD m.2のTBWはWDのサイトを見ると400TBである。
一方Crystal DiskInfoで自分の過去2年間の書き込み量を確認すると、18TBであった。
同じ使い方をしたとして40年使える計算なので、これで問題ないと考えた。
WDに二つの型番
Amazonを見ると、-ECという型番がついたものが出ており、300円ほど安かった。
- WDS100T2B0B
- WDS100T2B0B-EC
しかし、-ECの方はAmazonに登録されて間もないためかレビューはなく、そもそもWDのウェブサイトを見てもそれらしい型番がなかったため、-ECなしの方にした。
これはどういうことなのだろう?
購入した店
価格コムで見るとネット通販では最安値がいくつかあったが、一応店員さんに自分の考えを説明し、あっているか確認したかったのでTSUKUMO電機秋葉原本店さんの店頭で購入することにした。TSUKUMOには-ECなしの方しか売ってなかった。
保証期間
WDのm.2は保証が5年間であり問題ない。
クローンソフト
WDを買うと、Acronis True Image WD Editionが使えると書かれていた。
が、SABRENTのケースにm.2をさしてUSB接続すると、True ImageがWDであることを認識せず、インストーラが実行できなかった。
OSの管理画面で見ると、m.2を2.5インチSATAドライブに変換するケースのベンダのチップ名であるSABRENTと表示されており、そのためにWDではない、と判断したのかもしれない。
Acronis True Image WD Editionのダウンロード
https://support-jp.wd.com/app/products/product-detail/p/276
Acronis True Image 2019のお試し版
お試し版は、クローン機能は制限されており使えなかった。
商売だから、そりゃそうだ。
AOMEI Backupper
AOMEIという無料のクローンソフトを見つけたが、次の点で遠慮した。
- 中国製である
- 評価がよくない(頻繁に広告がでて非常に使いづらいなど)
https://freesoft-100.com/review/soft/aomei-data-backuper.html
「これを使うと簡単にできた!」という評価もいくつか見受けられたが、基本的に自分は褒める評価は話半分で聞くことにしている。
VirusTotalでは検知率はゼロであった。
おかしなソフトをインストールする、というような書き込みは見つけられなかった。
この時点で、いったん手詰まりとなってしまった。
どうすればクローンコピーができるのか...。
センチュリーさんから出ている「これdo台」という製品を使えば、SATAのディスク丸ごとコピーができることは知っている。
でもこれから何回使うのかわからないのに、買うのもなぁ、と思った。
Seagate Disc Wizard
一晩寝て、元気になったところで再度Google先生に聞いてみると、SeagateやSamsungの場合なら、Seagate Disc Wizardが使えると書かれたサイトを見つけたので試してみると、インストールができ、クローンもできた。
これが今回の最終形です。
SEAGATE Disc Wizardのダウンロード
https://www.seagate.com/jp/ja/support/downloads/discwizard/
TSUKUMOの店員さんに聞いた話
Q WDS100T2B0Bは発売開始が2017年5月で、2年以上経過している。SSDの世界は進歩が著しいが、2年以上新製品が出ていないのはなぜだろうか。
A 本製品はSATAであるためと思われる。SATAの場合、これが転送速度のボトルネックになっており、チップを高速化しても恩恵を受けない。そのため、これ以上のスペックの商品を開発する必要がないのではないかと考える。
→なるほど納得した。
店頭ではこういう話を聞けるところが利点である。